サステナブルな運営
廃棄物管理
汚水処理施設
エルニドリゾーツは、現地産のアシ原のフィルターを取り入れた最先端の汚水処理施設(STP)を運用しています。これにより、未処理の下水を海に放出することは一切ありません。処理後の水は水洗トイレや植物への水やり、消火栓の水等に利用されます。以上のような方法で直接的に水の使用量を削減しています。もしSTPがない場合、エネルギーを消費する脱塩技術によって水を精製したり、地域から水を調達したりする必要があります。
資源回収施設
固形廃棄物は、リゾートの資源回収施設(MRF)に送られる前に、厳密に分別されます。MRFはリゾートからリサイクル可能廃棄物と有機廃棄物を受け入れ、ガーデン部門がそれ以降を担当します。分別後、リサイクル可能な廃棄物は保管箱に貯蔵されて、地域のリサイクル品販売業者が引き取ります。一方、有機廃棄物は敷地内で堆肥にし、その後、リゾートのガーデンやエルニドがある島の有機農場で使用するためにパック詰めされます。リサイクル不可能な廃棄物による悪影響を認識しているエルニドリゾーツでは、2008年からボトルへの詰め替え可能な飲用水のシステムを実施し、アクティビティ中のボトル入り飲用水の購入削減に務めています。厨房部門でも独自の詰め替えシステムを実施しており、新しい容器に入った料理用油は購入せずに、使用した容器を供給業者に送り、詰め替えてもらっています。
水の節約
エルニドリゾーツでは雨水集水器で雨水を集水、ろ過、貯蔵して、客室や従業員宿舎で使用しています。低水圧シャワーヘッドや節水型トイレなど節水装置も装備しています。
海水淡水化設備
離島のリゾートでの真水は、非常に限られた供給量となります。エルニドリゾーツでは海水淡水化設備で、海水を人間が摂取するのに適した真水に変えています。海水淡水化設備により、本土の水資源の枯渇や水供給を必要とする地域社会との摩擦を避けることができます。
エネルギーの節約
2008年、すべての電球をコンパクト形蛍光灯(CFL)に交換しました。客室は、エネルギー効率の良い給湯装置が設置され、自然光を最大限活かすデザインが採用されています。ミニロックアイランドリゾートのデラックス水上コテージ、エルニドのエンタローラビーチクラブとディブルアンビーチクラブには太陽光パネルが設置されており、そのすべてをエルニドリゾーツが運用しています。エルニドリゾーツでは、毎年3月に行われる世界規模の取り組みであるアースアワーに参加しており、その日は1時間、リゾートで必須でない明かりをすべて消しています。アースアワーから考えだされた独自のイベントとして、エルニドでは、3月から5月の夏期の満月の日に、エコアワーも実施しています。1時間の電気使用停止により節約できた電気料金分で、アイランド・トランスボイジャー社のカーボンオフセット・プログラムから種子を購入し、エルニド流域に植えることになっています。
環境への影響を抑えたサステナブルな顧客体験
エルニドとタイタイは、間違いなく生物多様性が高いエリアです。エルニドリゾーツは、この豊かな生物多様性をアピールし、しかし同時に保護する、自然に基づく活動促進に尽力しています。お客様には環境にあまり負荷をかけないアクティビティのみを提供しています。よって、ジェットスキーやその他モーターを使用するマリンスポーツの装置は一切ありません。マリンスポーツのガイドがお客様に同行してアクティビティを監督したり、自然に対する理解を促したりして、お客様が環境を乱したり傷つけたりしないようにしています。当リゾーツではまた、2006年から環境にやさしいボートエンジンの使用を開始、エンジンメンテナンスの方法を継続的に改善し、一酸化炭素排出による悪影響を最小限するのに役立てています。エルニドリゾーツは持続可能なメニューのみを提供しています。リゾートではもう、ハタ科の魚は購入していません。現地での個体数の減少がはっきりと確認されているからです。地元で産出される有機農産物が厨房での総購入額の60%を占め、地元で成長する家畜も厨房での総購入額の90%を占めています。エルニドの一部のバランゲイ(村)出身の女性もまた、リゾートが購入する現地のバッグやスリッパ製作のために、織物の訓練を受けています。これら現地のバッグやスリッパは、エルニドリゾーツでの体験のひとつとして、お客様に無料で提供されます。
自然の保全・保護
エルニドリゾーツは、地域最大の雇用主として、保護区域内の小さな島々で事業展開しながら、自然保全においてリーダー的役割を果たしています。違法な漁法の取り締まり、サンゴ礁やそこに棲息する魚類のアセスメント、環境に関する啓蒙活動など、多大なサポートを必要とする分野で、地域社会や地方自治体と密接に連携しています。
野生生物の監視
エルニドリゾーツは2008年、エルニドの動植物のデータベースであるエルニド生物多様性オンライン(El Nido Biodiversity Online)を開始しました。データベースには、エルニドの動植物の生息場所や時期などの情報を含むデータシートや写真が含まれています。
野生生物を監視するお客様やスタッフ以外に、学術団体も関与しています。エルニドリゾーツでは、食事や宿泊施設、ボート、装備(ダイビング用器材など)、訪れる研究者の補助要員などを提供することで、エルニドの動植物に関する学術調査を支援しています。これまでの調査例として、ゲリー・アレン博士及びマーク・アードマン博士(Dr. Gerry Allen and Dr. Mark Erdmann)によるサンゴ礁に生息する魚類の調査、リンドン・デヴァンティア博士とエムレ・テュラック氏によるダイビングポイントの環境容量の調査などがあります。
海洋生態系の保全・保護
ウミガメの保全プログラム
エルニド及びタイタイに生息するウミガメはすべて、絶滅が危惧されています。少なくとも5種のウミガメが、エルニドの一部の海岸で巣穴を作ることが分かっています。エルニドリゾーツは保護地域事務所(Protected Area Office)と協力して、タグ・アンド・リリースのプログラムや、スタッフが安全を確保した巣穴からふ化した子ガメが脱出できるようにして、絶滅の危機にあるウミガメの保護を支援しています。
海岸の清掃
ラゲンアイランドリゾートでは、国際海岸清掃の日、世界海洋デー、アースデーなど環境に関するイベントを一貫して支援し、参加しています。海岸清掃については定期的な活動と位置づけ、月に2回、海ゴミの清掃を行っています。
トレス・マリアスでのエコリーフの設置
エルニドリゾーツは2006年4月、トレス・マリアスにエコリーフという人工リーフの設置で、地域社会及びエルニドファウンデーションインク(ENF)と連携することにしました。トレス・マリアスは、違法な漁法やサンゴ礁の白化現象、台風などによって壊滅した、以前はダイビングポイントだったところです。エルニドは、インドネシアのブナケン国立公園の次、世界で2番目に多くのセラミックモジュールを受け取っています。
係留ブイの設置
エルニドリゾーツのダイビングチームは、錨でサンゴ礁を傷つけないようにするため、バキット湾付近の21カ所に係留ブイを設置し、維持管理を行っています。この取り組みは、スモールラグーンやサウスミニロックなど交通量が多いエリアでは特に重要です。
オオシャコガイの保護
エルニドリゾーツでは、絶滅危惧種が乱獲されているバキット湾から、ミニロックアイランドリゾートやラゲンアイランドリゾートのリーフフロントにオオシャコガイを運んでいます。
エルニド海洋監視タスクフォース
エルニドの海域は、さまざまな違法行為の脅威に絶えず晒されています。エルニドリゾーツはバキット湾の海域を見回り、違反者の逮捕で地方自治体と連携を図っています。海洋監視タスクフォースへの参加により、後方支援の観点から、さらなる支援の拡大、条例起草、そして保護区域管理委員会(Protected Area Management Board)と地方自治体の立法機関(Municipal Legislative Body)の双方に罰則を求めるロビー活動を行うことになります。
サステナブルな地域社会の構築
エルニドのミニロック島及びラゲン島、並びにタイタイのアプリット島における当社のエコリゾートが「良き隣人」であり続けていられるのは、重要な利害関係者と互いに利益をもたらすパートナー関係を築き、地域社会における責任ある観光の原則を促進し、地方の観光を計画し、地域社会からの支援を受け、スタッフに高い道徳心があるから、そして美しい環境の中、現地スタッフとともに記憶に残る文化的体験をお客様に提供しているからです。
地域社会での雇用と生活を営む機会
有意義な雇用機会を創出したり、地域での雇用促進に力を入れることで、エルニドやタイタイの住民には現実的な選択肢が与えられ、生活できる賃金を得たり、自分の地域に住み続けることが可能となりました。地域社会に研修を計画的に提供することで、リゾートだけでなく、その他地域の小規模な旅行者向けコテージの潜在的労働者の技術の向上に役立っています。2005年以降、食品及び飲み物、ハウスキーピング、厨房の分野における基本的なスキルを求める現地住民に対し、リゾートの監督者が研修を行ってきました。現地の女性は専門のトレーナーの下で働きながら、マッサージ・セラピストになる訓練を受けています。町から来たバンカのオーナーは数年かけて、エルニドリゾーツのお客様の送迎のニーズに対応できるようになりました。
現地製品の応援
エルニドの一部のバランゲイ(村)出身の女性もまた、リゾートが購入する現地のバッグやスリッパ製作のために、織物の訓練を受けています。バッグやスリッパは、部屋のアメニティとして無料で提供されているもので、継続的な需要があります。
エルニドリゾーツは、食材を現地調達することで、継続的なフードマイレージ削減に取り組んでいます。地元で産出される有機農産物が厨房での総購入額の60%を占め、地元で成長する家畜も厨房での総購入額の90%を占めています。
地域社会への奉仕
エルニドリゾーツでは毎年、スタッフと地域社会のために、シースカウトのトレーニングを手配しています。シースカウトの証明書は、海事産業での就業希望者にとって役に立っています。シースカウトの研修を受けた人材が地域に増えれば、海岸地域全体の事故に対応できる能力を押し上げることになります。エルニドリゾーツの医師は、エルニドで唯一の市保健担当官の業務を強化し、少なくとも週2回、さまざまな村に癒しと健康教育を届けています。リゾートの医師はまた、エルニドのフィリピン赤十字社の年間団体献血プログラムでの業務を無料で行っています。スタッフが進んで献血者となるエルニドリゾーツは、パラワン島最大の貢献を行う企業です。エルニドリゾーツの1.5ヘクタールの有機農場は現地住民の実証現場として機能し、長期にわたるサステナビリティを実現させるため、地域の農産物の品質改善に役立っています。肥料に化学物質を使用する代わりに、ここでは、エルニドリゾーツの生分解性廃棄物の堆肥が使用されています。また、野菜や有用微生物をエサにしているやせた豚、「ハッピーピッグ」の飼育も紹介しています。リゾートが将来、現地の農家から有機栽培の野菜や有機飼育の肉類を購入できるように、農家は技術習得が奨励されています。
環境教育
2007年から始まった、Be G.R.E.E.N.(Guard(保護)、Respect(敬意)、Educate El Nido(エルニドの啓蒙))研修プログラムでは、環境に配慮した廃棄物管理、水、エネルギー、生物多様性の保全、環境に関する法律などについて、スタッフ全員に研修を行っています。セミナーで学んだことを活用するようにスタッフを奨励するため、全社を挙げた環境にやさしい取り組みのコンペティションである「Pa-Berdehan:エルニドリゾーツのエコチャレンジ」が、2007年に始まりました。以来、革新的な実践が編み出されて実施されてきました。たとえば、再利用可能な容器を使用する食用油の小売業者を後援(購買部門による取り組み)や、お客様の快適さを犠牲にすることなく、冷暖房装置の運転時間の制限(エンジニアリング部門による取り組み)が行われました。環境部門は、マリンスポーツのガイドとその他参加希望のスタッフに対し、毎年、自然解説についての研修セミナーを実施しています。
お客様への啓蒙
お客様には私たちの天然資源保護を再認識していただくようにしています。「Ten El-NiDos」という当社の環境行動規範が各部屋に配布されており、確実な保全のために、環境面から慎重に扱うべき保護区域と適切な行動について、お客様に思い出していただいています。地上または水中のいずれであっても、動物に触れないように特にお願いしています。貝、サンゴ、ヒトデ、その他の動物の収集は禁止されており、当社のウェルカムメッセージにも明確に記載されています。同様に、お客様にはリゾートが収集し、保護地域事務所に送金する保全料についてお知らせします。エルニドリゾーツはまた、数多くの観光業者による研究機会を創出することで、業界のリーダーとなれるよう努力します。さまざまなエコイベントに参加することで、当社は他の人々も取り入れることができる成功事例を共有することができます。